事業を息子に譲っても連帯保証は外れない?「事業承継と連帯保証人」

2019-12-25

最近の業界バズワード「事業承継」。
以前は業績悪くなった会社を再建する「企業再生」というワードがバズってましたが、個人的には言葉が逆のような気がしていまして、企業自体を承継するから「企業承継」で、悪い事業を再生するから「事業再生」っていう使い方が正しいと思ったりします。

さて、その「事業承継」ですが、結構な勢いでケースが増えてきています。
様々な問題課題があるなかがある中で、事業承継時の連帯保証人の問題について、金融機関の実務上の取り扱いや指針がまちまちで、「埒が明かない」とか「非合理だ」というお嘆きが聞かれるようになりました。

例えば、以下のようなケースです。

(case1)
代表者の逝去に伴い、相続が発生したが、融資を受けている銀行から「相続手続きが決まらないうちは、法定相続人全員に連帯保証人になってもらう」と言われた。相続人は複数いるがその大半は事業に全く関係ない人であった。

(case2)
先代が引退の意向を示し、事業経営から完全に撤退することを表明し、連帯保証人は後継者が引継ぐことになったが、先代の連帯保証人を外すことに銀行が難色を示した。

連帯保証人の問題は、平成25年に「経営者保証のガイドライン」というものが策定され、「過度に経営者保証に依存した借入は避けるように」との指針を示しています。しかしながら、肌感覚としてあまり進んでいないと思われます。

果たして世の中は変わりました。
「負債をしょってまでおやオヤジの会社を引き継ぐのは御免だ」という方々が現れたのです。
30年に及ぶでデフレ、成長が望めない成熟産業、実質的に資産より借金の方が多い財務状況、従業員の高齢化・・。
経営を引き継ぐのは自分の人生にとってマイナスでしかなく、全くインセンティブがない。

そこで、れん令和元年12月24日、「事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則」なるものが公表されました。
こちらは金融庁のものですが、全国銀行協会のリンクのほうが見やすいかもです(私見)

簡単にいうと、状況判断次第だが、上記のcase1・2にあるような、非合理的で本源的意味合いの薄れた旧来の慣行みたいなものは止めましょう、というものです。

「なんとなく心配だから保証人を取ります」とか「銀行の方針なので」とか、「外す決断をして、後で何かあったら俺のせいにされてしまう」とか、非合理な理由、保守的思考が金融機関の根底にある限り、どんどん多くなるこの手の事業承継問題を処理することは難しいのではないかと思います。
真剣に、かつ集中して、なるはやで手続きを整備してもらいたいと思う次第です。

著者

山田仁浩