【スワドク】-4- ウクライナ侵攻第2幕

2022-05-01

世界各国が危惧していたロシアのウクライナ侵攻から2か月が過ぎてしまった。その間ロシア国内の支持率は上昇しているという。従前に比べ情報の非対称性は少なくなり戦場の情勢がほぼリアルタイムで全世界に発信されている中「防衛的な愛国心」に支えられているのか。

「自分たちの戦争は防衛戦争であり、自分たちの国は強硬な決意を固めた敵から攻撃を受けるか挑発されるかしており、自分たちの政府は平和を維持するためにあらゆる努力を払ってきたのだと確信することができた。」同様の主張を最近よく耳にするが、これは前回紹介した『夢遊病者たち』の一節で第1次世界大戦前と同様に戦争の正当性を主張して国民の理解を得ようとする為政者にとって非常に使い勝手の良い言葉になっている。

ただ国民の支持を受け「短期戦の幻想」に及んだが、今回の侵攻でも目算が崩れている。軍事力の圧倒的有利を想定し侵攻したものの、短期間で首都などを制圧することができず、長期戦の様相を呈している。

西側から見ると一方的にロシアが避難の対象となっているが、世界的には必ずしもそうではないことがうかがわれる。国連総会緊急特別会合は3月2日、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議を賛成多数で採択した。193ヵ国中、賛成141、反対はベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、ロシア、シリアの5ヵ国、中国やインドなど35ヵ国が棄権している。さらに4月7日、ロシア軍が重大な人権侵害を行っているとして、国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する決議を日米欧など93ヵ国が賛成し採択した。しかし、ロシアや中国、北朝鮮など24カ国が反対、インドやブラジルなど58ヵ国が棄権している。

世界的にロシアが孤立しているわけではなく、民主国家対非民主国家、ヨーロッパアメリカ等の西洋対非西洋、の2極化といってもよい情勢になりつつある。第一次世界大戦の開戦理由が複雑であった状況と同様、ウクライナ侵攻といった直接的要因を越えて各国が参戦せざるを得ないリスクをはらんでいるように思える。すでに歴史は繰返され、国連事務総長にも耳を傾ける兆しもないが、さらなる深刻化・世界規模への拡大のないことを祈念したい。

シニアパートナー 諏訪 博昭 (経済学博士・中小企業診断士)